【M&A実務】 2次入札の実際の流れ

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さて、無事1次入札を通過する事が出来ましたら、いよいよ本番の2次入札に向けての準備ですね!

1次入札の実際の流れをまだ把握していない方はこちらをどうぞ

2次入札では「Binding(法的拘束力あり)のLOI(又は基本合意書)」やドラフト版のSPA(株式譲渡契約書)/ SHA(株主間契約書)を提出する事が目的となります。

さて、買手側の目線で一番この時点で気になるのは、「競合先が何社くらいいるのか?」だと思います。

筆者の経験だと、通常2社〜5社くらいかと思います。

売手FAとしてのアドバイザリー経験からも言える事ですが、それくらいに絞らないといけない理由があります。

それは、買い手側のDDに対応できないという事です。

通常、入札形式を採用する場合、売り手側にFAが付いています。

このFAですが、3名〜5名体制のチームで通常対応します。

しかし、現場の実務は若手1名又は2名で対応しますので、買い手候補が6社も7社もいると、マンパワーが足りません。

IMとかを見れば分かると思いますが、最後の頁に案件担当者の情報がありますので、その辺の人数も見ておくといいですよ!

また、売り手サイド(事業会社側)にも相当な負荷がかかるので、大体この時点では多くても5社程度と考えても大丈夫です。

さて、以下から実際の2次入札の流れに触れていきたいと思います。

また、買い手側にはFAは付けず、自社の誰かが(経営企画担当者)コントロールしている前提でお話します。

2次入札案内書について

1次入札を通過すると、売り手FAから2次入札案内書とDDの進め方についての案内があります。

入札案内書は、1次入札の時とさほど内容は変わりません。

強いて言えば、価格の変更・スキームの変更等があるかと思います。

なので、ここでの注意点は「提出期日」を事前にしっかりと確認をする事です。

これ実はすごく重要で、教科書とかにも書かれていない事だと思います。

何が重要かと言うと、Binding-LOIの提出にもなりますので、自社の決済プロセスとも大きく関連します。

要は、取締役会の開催日が次回はいつで、調整可能なのかという点です。

この時点で提出期日に間に合わないと判明しているのなら、直ぐにFAとも調整に入った方が良いです。

特別扱いはできませんとか言ってくる可能性は大いにありますが、提出期日を過ぎてもきちんと受けとってくれるのかだけでも確認は必要です。

早めに連絡する事で、調整はし易くなります。

Q&Aの進め方について

Q&Aについては、「何曜日と何曜日までの正午までに」、とかが多いと思います。

基本的に売り手側FAは買い手候補を「特別扱い」する事はあまりないです。

なので、期日は絶対と言ってくると思います(まぁ、当たり前ですがw)

でも、事前に少しだけ遅れそうなのであれば、コンタクトはしておいた方が良いです。

FAによっては待ってくれたりもしますが、その場合は「期日通りに回答をお返しできない可能性もありますが、それでも良いなら」と受けってくれます。

さてQ&Aの進め方について、ここでちょっとしたTipを!

通常Q&AはFAとも、内部でも「エクセル」での共有が今まで(?)当たり前でしたが、筆者は正直「非効率」で止めた方が良いと思います。

勿論、FAとのやりとりはメールが基本なので、エクセルファイルで添付して送りますが、せめて内部では最低限「Spreadsheet」を使った方が良いと思います。

ただし、外部の専門家も入れてとなると、Google Docsの共有はセキュリティ的に厳しいので、その場合は「Box」とかで良いと思います。

こちらですね。

セキュアなファイル共有、ストレージ、コラボレーション | Box
Box は、シンプルなファイル共有からカスタムアプリケーションの構築まで、企業・組織の内外におけるコンテンツ管理に変革をもたらします。

「Box」上では、Spreadsheetみたく、アクセス権限がある人のみがファイルの編集が出来ますので、買い手側の関係者全員で共有する事で、「取り纏め」が非常に楽になります!

この「取り纏め」ですが、担当者からするとかなり革命的な出来事に違いないと思います!(金融系は結構古臭い業界でもあるので、あまりIT活用が進んでいない事もあるので、非効率だと思う事はどんどん変えていきたいです)

取り纏め作業・待ち時間・関係者へのリマインドなどなど、相当非効率で、何故か深夜対応とかあります。

クラウドで共有できないと、何度もエクセルファイルを開いて、コピー&ペーストをして、そして間違いがあったら、修正して、その繰り返しです。

正に地獄です…(売り手FAさんも今はクラウドで共有しているのかなぁ?)

DDの進め方について

さて実際のDDですが、外部にどこまで委託するのかは、1次入札の段階で決めておく必要があります。

各アドバイザリーファームでリソースが割けるのかを事前に確認しておくという事です。

ベーシックなパターンは、会計・税務・法務・バリュエーションくらいかと思います。

まずは、「バーチャルデータルーム(VDR)」と言って、クラウド上に配置された仮想的なデータルームにFAがどんどん売り手側の情報をアップしていきます。

多分一番(?)有名なのが、イントラリンクスさんかと思います。

https://www2.intralinks.com/jp/data-room?param_da=google-global-new-ui&gclid=EAIaIQobChMIxbvguLWa4QIVBK6WCh1X9wSHEAAYASAAEgIvMvD_BwE

で、案内・登録メールが関係者全員に飛んで来ます!

これに登録する事で、関係者はVDRにアクセスが出来て、アップされたデータをダウンロードしていきます。

ダウンロードしたあとは、基本的には全データに目を通して置く必要があります。

でないと、各専門家と話す時に何が論点になっているかついていけなくなります。

各専門家は自分達の領域についてのデータのみを基本ダウンロードして、質問事項を纏めていきます。

そして、受領した資料をベースに問題点がないか確認をしていき、資料が不足しているようであれば、再度FAに資料を要求します。

DD自体は基本この繰り返しです。

各専門家は各領域で些細な問題点も見逃さず、どんどん質問をしてきますが、これを全て許容してしまうと、相手方からも嫌がられますし、上手くコントロールしなければなりません。

では、どういう点に気をつけるかというと、単純な事です。

「バリュエーションの価格」にどの程度影響があるのか。

要は、その問題は「将来、キャッシュアウトが生じるのか?」

この一点を常に意識して、DD及びQAを進めていけば良いかと思います。

特に入札案件は時間的な制約もあり、全てを完璧に精査する事はまず無理かと思います。

なので、「優先順位」をつけて、特に価格に影響があるものはしっかりと潰して行く必要があります。

それも、価格に大きく影響する項目ですね。

正直、影響額がさほど大きくない項目は、株式譲渡契約書等の契約書交渉時の「交渉材料」として残しておく事も考えられます。

マネジメント/実務者インタビューについて

DDが進むと、FAよりマネジメント/実務者インタビューの日程調整が入ります。

両インタビューともに、基本はQ&Aで回答しきれない項目をピックアップして、対象会社の経営陣及び実務者キーマンに対面でインタビューを実施します。

例えば、工場とか持っている会社さんとかだと、工場視察と一緒に実施したりする事もあります。

基本的に、FAから事前にインタビュー項目をピックアップしてくれと言われるので、口頭で説明を聞きたい項目をピックアップすれば良いです。

あとは、時間的制約もあるので、このままではQ&Aが期日内に終わりそうにないので、優先度を考えて最悪この項目は潰しておきたい、といったケースもあります。

それを受けて、売り手FA側でも事前に想定インタビューとか内部で実施したりします。

まぁ、インタビューの練習ですね(余計な事を言わないため、というのもありますがw)

DD報告会

さて、DDも終盤を迎える頃に、DD報告会が開催されます。

これは、各領域の専門家達を一堂に集めて、DDの報告会をしようとするものです。

ここでは、Draft版のレポートで報告されます。

まぁ、何十ページもあるレポートをいちいち細かくは見ていられないので、そこは専門家も分かっているので、重要項目は大体「Executive Summary」に記載されています。

なので「Exectutive Summary」の内容にはしっかり目を通しましょう。

そして、このDDレポートで発見された問題が、バリュエーションにどう響くか、という所が最も大事です。

ここの詳細は、別記事で触れたいと思います。

最終意向表明書の提出

さて、DDも終わりバリュエーションが内部で固まってくると、あとはBinding LOIを提出するだけです。

ただ、このバリュエーションが中々決まらないんですよね…反映すべき項目はDDレポートから抽出して、価格に加算減算の調整を入れていきます。

と言っても、価格に加算するケースは滅多にないとは思いますが..

そして、1次入札の時に記載できなかった内容、変更する内容を最終意向表明書に記載していきます。

また、FAから必ず聞かれるのが、バリュエーションの価格の決め方です。

調整項目とか運転資本とかはどうしたのか聞いてきますが、全て答える義務はありませんので、答えたくない部分は無理に答える必要はありません。

さて、無事に提出が出来たら、あとは祈るのみ…と言いたい所ですが、実はここからFAとの駆け引きが始まります。

ぶっちぎりの勝者であれば、そんな駆け引きなど行われないのですが、そうでなければ、価格を引き上げようとしてきます。

多分、3日〜1週間以内にはFAから連絡が来ると思いますが、そのまま放置プレイなんてこともあります。

1ヶ月近く、FAから連絡がないという経験もあります(こちらから連絡しても、「まだ検討中」というテンプレ回答しかありません)

その場合、かなりの高確率で他社と交渉フェーズに入っているかと思われます。

ただ、逆に交渉がスタートした場合は、他社と価格が接近している、と受け止めて問題ないと思います。

なので重要なのが、「価格の上乗せ(=バッファ)をどこまで事前に許容しておくか」が結構重要だったりします。

「再度取締役会に上程して…」なんてやっていると、交渉が遅れてしまいますので、事前にFAから価格の引き上げを要求された場合の対応についても決めておいた方が良いです。

そんな駆け引きを経て、「初めて神のみぞ知る」という天に任せるフェーズに入ります。

あれこれ考えてしまう気持ちも分かるのですが、ここまで来ると本当に「ただ待つ」しかないので、とりあえずは飲みに行きましょう!(もしくは体をしっかり休めてください!)

では、次回はバリュエーション、DDの詳細、Closingについて触れていきたいと思います。

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